2015-01-25

日本の向かう先は 1 USDJPY マーケット分析

日本人トレーダーにとって永遠のテーマ、USDJPYのマーケット分析を行いたい。


当銘柄は、昨年8月から始まった高騰相場の冷却期間中である。

短期プライスアクションとしては、116円から118円のレンジ相場で、上値を切り下げながら、ディセンディングトライアングルを形成中だろう。


この銘柄を分析するには、とにかくファンダメンタルズ分析をおいては精度のある内容にはならないだろう。

これから、経済素人の筆者が、にわか知識ベースの妄想科学を全面に、日本の将来像を語ってみたいと思う。



まず、前提となる考え方の一つとして「量的金融緩和(QE)」を押さえておく必要がありそうだ。

良い機会なので、各主要国のQE政策を整理しておきたいと思う。



QEとは、伝統的な金利引き下げ政策が実施困難(超低金利政策下)な状況下で、景気刺激策の新たな手法として米国でスタートした金融政策である。

内容は、中央銀行が国債をはじめとする金融商品を買い取ることで、マネタリーベース(貨幣流通量)を直接的に増加させ、これにより事業者の設備投資のための資金調達を容易にすることで、景気好転(生産/消費/雇用)、経済成長を実現するものである。


2008年、米国でサブプライムローン問題が表面化し、金融危機が叫ばれていた中で、景気対策と金融市場の立て直しを図る目的で、NOV-2008から20カ月で1兆7,250億ドルの資金が投入された。(QE1)

2010年、米国は景気回復ペースの鈍化を受けて、NOV-2010から8カ月で6,000億ドルの資金が投入された。(QE2)

SEP-2012からOCT-2014まで、1兆8,100億ドル規模の資金投入が行われた。(QE3)

テーパリングと呼ばれる、資金投入量を少しずつ減量する期間を経て、景気回復を実現し、政策終了となった。



スイスではQEとは異なるが、SEP-2011に自国通貨の高騰抑制政策として、固定相場制の導入(対ユーロでの上限設定)が始まった。(PEG2 *1)

  *1: 1970年代の固定相場制をPEG1とした。

金融市場への大量資金投入といった意味で、広義のQEと捉えてみた。(筆者独自)

米国のQEは、国が借金(国債発行)をすることで資金調達を行ったが、スイスの場合は、直接貨幣を増刷することで対応した。

まさに元手0の無尽蔵介入である。

そして、JAN-2014に突如としてPEGは終了を迎えた。

結果として、スイスフランの貨幣量は増加したにもかかわらず、通貨価値は上昇し、自国民を中心に、スイスフラン建ての資産保有者はとてつもない恩恵を受けることとなった。

一方で、国外のスイスフラン建ての債務保有者は、債務が40%近く膨らんでしまうという、最悪の状況を生んでしまった。

また、スイス株は急落し、輸出企業、銀行、証券会社を中心とするP/Lへの影響など、スイス経済への影響は、今後発表される経済指標などで明らかになっていくだろうが、3年前からスイスは国際経済社会での生き残りを懸けた大きな舵取りを行っていたのである。

投資業界(投資家、相対業者)への側面としては、自国のためになりふり構わぬ姿勢を貫いたSNBに対しては、賛否両論があるだろうが、無制限介入政策を導入した背景、目的を理解し、スイスフランのフェアバリューを見極めていた投資家に、女神はほほ笑んだだろう。



米国に遅れること4年、日本も「異次元緩和」と呼ばれる量的金融緩和(QE)を導入することになった。

インフレ指数(CPIコアの対前年上昇率)の出口目標値を2.0%とし、当面の終了目途をMAR-2015に設定し、24カ月で100兆円規模の資金投入予定で、APL-2013に開始した。

日銀の「異次元緩和」は、日本政府の「アベノミクス」とセットで捉えておく必要があるだろう。狙いは何か。


「アベノミクス」で表現される経済施策は、円高の是正と、デフレスパイラル(デフレーションが経済停滞を呼び、さらに深刻なデフレーションを引き起こす)からの脱却により、日本経済を立て直し(企業収益増加、個人所得増加、消費活動/投資活動の活性化)を行い、国際競争力(円安効果含む)を増強することを目的とし、最終的に税収を増やして財政赤字を削減し、将来の社会福祉費の拡充を目指していると考えている。

異次元緩和施行から1年半が経過し、追加策なしでは景気判断材料のインフレ指数は目標達成が困難との判断から、NOV-2014に年間30兆円規模の追加金融緩和策を開始した。

ちなみに投入原資は、マネーサプライの直接拡大(貨幣増刷)により購われている。


追加緩和策の決定に至る理由については色々あるが、原油価格の急落(逆石油ショック)がかなりの割合を占めていると感じている。

原油価格の下落はOCT-2014頃から顕在化してきた。

原油価格が下がると、CPIコアは低下してしまう。

ガソリン、灯油といった品目そのものがコアCPIに含まれるのはもちろんのこと、燃料コスト、輸送コストの低下により、物価品目の全域にわたって価格を押し下げてしまうからだ。

原油価格の急落を起因とする円安相場の一時的な冷却期間とも合致する。

日銀とGPIFとが、現在の日経平均の落ちる相場をなんとか買い支えている状況は、原油価格の下落が終息し、1バレル70ドル付近で安定するまで続くと思われる。

今回の原油価格の下落は、中長期で見た場合、間違いなく日本経済(日経平均含む)にとってはプラスに働くはずだ。

日銀としても、さらなる追加金融緩和への思いもよらない好材料が出てきたと感じているはずだ。



世界的な金融緩和の波にのまれるがごとく、最後の巨人が動き出した。

先週、EUが量的金融緩和策を打ち出した。

月額600億ユーロ規模の金融資産(国債メイン)買い入れプログラムが、MAR-2015から、SEP-2016まで実施される。

ちなみに、筆者は買い入れ規模について、少しオーバーだが、「一桁小さいのではないか」、と感じている。
(既にユーロ安が進んでいること、QE実施国との経済規模比較、他国がQEにより通貨大量発行済みであることを考えると、妥当な数値は算出困難か)

政策発表直後の一方的なEURUSDの下落は、さらなる金融緩和策への期待下げと受け止めている。

本題から離れてしまうが、EURUSDは最低でも、1.00(パリティ)を目指す展開が続きそうだ。



次回へ続く。



#Forex #Trading

0 件のコメント:

コメントを投稿